労働法見直し

労働法制見直し始動 一定年収で残業代なくす制度も提案
http://www.asahi.com/life/update/0613/013.html

2006年06月13日21時40分

(前略)

 その一方で、一定以上の年収の人を労働時間規制から外して残業代の適用対象外にする「自律的労働制度」の創設▽就業規則など労働条件変更の際、過半数の社員でつくる組合の合意があれば個別の社員の合意と推定▽裁判で解雇を争って無効になった場合でも解雇を金銭で解決できる仕組みの検討―― なども示した。

 自律的労働制度の対象となる社員について、厚労省案では具体的な基準は示されていないが、日本経団連は昨年、年収が400万円以上の従業員を労働時間規制の対象外にするよう提案しており、基準の設け方によっては多くの正社員の残業代がなくなる可能性もある。

(後略)

年収が400万円以上の従業員を労働時間規制の対象外にした日にゃ、日本社会は遠からず崩壊すると思うが。

日本経団連って何考えてるんだろう?自分達が金持ち過ぎて、平民が年収400万円で生活するってのがどういうことか想像することもできないの?そもそも今何が社会問題になっているのかを全く理解してないよね?でなきゃこんな馬鹿げた提案ができるとは思えない。

んで。

「自律的労働制度」って、きっと今まで「裁量労働制」って言ってたのを名前を変えただけな気がする。この手の制度を積極的に導入したいってのは理解できるんだけど。。。


労働法の改正とか色々やっているのって、雇用主が労働者から労働力を買う、という市場があって、その市場を活性化させることが雇用主・労働者双方のメリットとなる、というのが狙いなんだろう。

市場が冷え込んでる主な理由が、雇用主の買い控えにある(失業率が高い)んだから、雇用主から見て商品(この場合労働力)がより魅力的に映るようにして、もっと買ってもらおう(雇用を促進しよう)てのはわかる。

が、それが単なる労働力のダンピングになってしまうと、労働者側が死んでしまう(比喩的にも、文字通りにも)。しかも、困ったことに、事態は既にその方向に進んじゃってる(労働者の数が減って仕事は減らないかむしろ増えるってのは、つまり単価が下がってるってこと)。

ダンピングを防ぐには、市場原理がきちんと働く必要があって、つまり、最低限売る側に商品の内容と価格の決定権があるのと、売る相手を選ぶ権利があるのが前提だと思う。特定の相手にしか売ることが出来ないのでは、建前はともかく、実質的には売る側には何の権利も無く、買う側が一方的に全てを決めることができてしまう。

(無論、法律の範囲内で、という制約はあるわけだが・・・サービス残業問題でもわかる通り、法律がきちんと守られてるとは言い難いし、無法状態ならもう金を持ってる雇用側が強いのはどうしようもない。)

言い換えると、雇用側が無茶言った時に労働者が「こんな会社辞めてやるっ!」って言ってさくっと転職できる状況じゃないと、労働者が雇用者を自由に選べる状況じゃないと、雇用者の言う無茶を延々受けいれるしか無くなる。今は残念ながら雇用者が言う無茶を受け入れざるを得ない状況になってしまっているので、なるべくして過労やサービス残業が社会問題になっている。

この状況を解決するには、転職がもっとやりやすく、つまり雇用側がもっと中途採用を増やす必要がある。それはつまり雇用主から見て労働力市場がより魅力的に映ってばんばん買うようになるってことなんだけど・・・


このループを抜け出す方法はどこにあるのだろう。


結局、労働力のダンピングをどうにかして、法整備とか政府が頑張るとかして、強引に押さえ込むしか無いんじゃないかな、と思ってる。

なので、それだけで解決するとは思わないにしても、労働法の改正には期待するとこ大なんだけど・・・

改悪になりそうなんだったらまた投書しようかなぁ。